キミの日記『Cherry's Diary』
「みさと、どうだった?」
家に帰ると心配そうに
お母さんが私の顔を覗き込んだ。
「うん。桃乃木元気そうだった」
と、見たままのことを伝えた。
彼の本心はわからないけど。
「はいっ、ご飯だよ。美里今朝も
ちゃんと食べてないんだから
しっかり食べなよ。」
食卓に並ぶ母の作った
料理を食べていると
なぜか目に涙が浮かんだ。
「美里、大丈夫?」
と、お母さんが私に言った。
「うん。…うん。
桃乃木、もうお母さんいないんだよね。
涙があふれてきた。
「…疲れたし、行くね。」
と、言い残し
私は自分の部屋に閉じこもった。
葬儀場の独特の雰囲気
すすり泣く声もある中
何一つ涙をこぼさない自分自身。
冷たい女だと自分で思っていたのに
部屋に戻った途端に涙がぽろぽろ零れ落ちる。
楓さん
桃乃木連れてきてたっけ
アップルパイがおいしかったよな。
お母さんの料理を見ていてアップルパイを思い出した。
楓さん…
死んじゃったんだ。