キミの日記『Cherry's Diary』

――ブルルルルブルルルル――


不快な着信音で目が覚めた。

涙で濡れている枕。

時計は夜中の1時を廻っていた。


「桃乃木から…?」


胸が締め付けられるくらい痛い。
 
どうしたらこの気持ちは収まるのだろう?

そんな思いが頭をよぎりながらも、

メールの内容を見た。

「今、起きてるか?」

少し考えてうんと返事した。

しばらくすると電話がかかって来た。


「こんばんは。」


「…こんばんは。」


「夜中に悪いな!」


こっちは泣き疲れて辛いのに

桃乃木は淡々と話した。


「今、火の番してるんだ。」

 
「…そう。」

 
「ちょっとだけ、頼みがあるんだ。」

 
「何?」


「火葬の時、

僕の家の留守頼めないか?

葬儀泥棒とかっているらしいから

葬儀屋に誰かに留守頼んどけって言われたんだ。」


「…何してればいい?」


「俺が帰るまで俺んちにいるだけ。


午後の3時くらいには終わるし」


明日の予定は別に無い。



「・・・いいよ。」


「俺の家の鍵、

お前の家のポストに入れておくから、んじゃ。」



そう言うと、電話は切れた。

なんでだろう。

桃乃木と話したら少しだけ安心した。

そう思ったとたん急に眠気がわいてきた。


「明日は、留守番か。」

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