キミの日記『Cherry's Diary』


「美里…」


「あっ、ちょっと」


桃乃木の言葉をさえぎると私は

両手で髪を整えた。


「・・・。」


「うん。いいよ。」


「美里…」


桃乃木の

言葉は落ち着いていて

私が想像していたものとは

大きく違っていた。
 








「引越しするんだ。」












 
「へ?」
 



引越し。


その言葉にたじろぎながら、

そのまましゃがみ込んだ。

顔を上げにくい雰囲気。

てっきり

告白だって思ってたのに。

ずっと仲良しだった2人…。

桃乃木は

私の事が大好きだった。

だから

きっといろんなことが片付いた今

告白するんだって思ってた。

その言葉に私は答えを

用意してなくたじろいだ。

そんな予想をしてた。


口をが自然と動く。



「引越し…」
 


持っていたお茶を飲む桃乃木。


「そ。ほらさっきの人、施設長なんだ」
 

雰囲気を無理やり明るくしようとしたのか

桃乃木が大きな声で言った。
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