キミの日記『Cherry's Diary』
「急にこっちに話しかけないでよ!」
「悪いな、さぼっているように見えたんでね。」
そうだった。
今、勉強している途中だったんだ。
危ない危ない。
また、ぼんやりして一日過ぎちゃうところだったよ。
「やっぱり、桃乃木君って頭いいよねぇ。私、問24わかんないよ。」
ヒカリが耳にかかった髪に触れながら桃乃木に言った。
「これはな、まず・・・。」
慣れた手つき。
鉛筆が止まることなく動く動く。
カリカリカリカリ
とめどなく鳴り響く鉛筆のリズム。
そのペン先をなぞるように
見つめるヒカリの瞳。
長い黒髪をかきあげた後に
ちらりと映るヒカリの手がとても美しい。
何か桃乃木とヒカリが
違う世界の会話をしているみたいで
とても神秘的に思えた。
はぁ、ヒカリ本当に美人になったなぁ。
「ホント分かりやすいっ。すごいねぇ。」
「い~え。どういたしまして。」
さっきからこんなやり取りが続いてる。
なんて言うか、この2人、意外と絵になるなって思う。
「桃乃木君ってずっと成績良かったの?」
「んなことねーよ。俺、中1くらいまで通信簿オール3だぜ?」
そういえば。
桃乃木って中2くらいから急に成績伸びた気がする。
それまで、私が教えていたくらいなのに。
中1なんてダメダメすぎてコイツ大丈夫かなぁ?
って思っていたのに
中2の夏くらいから
あっという間に、私を追い抜いていったなぁ。