Promenade
数時間前までお互いのことをよく知らなかった私達。


きっと今ここで私の気持ちを伝えたら村山さんは私と距離を置くだろう。


それだけは嫌だった。


だからこそ自分の気持ちを伝えることなんて出来ないと思った。


私はどうすればいい?


“なぐさめて”


そう言ったのは私なのに。


だけど、頭の中でいろいろ考えても答えなんかでなかった。


「カギは外から閉めて玄関から中に落としとくから。お前はそのまま寝とけよ?」


そう言って、頭をポンポンとたたいて村山さんは玄関に向かって行った。


“カシャーン”


カギが落ちる音がやけに大きく聞こえた。


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