アズライト
「じゃあ少し聞こうかな
子供の頃の夢は?」
『歌が好きで、歌手になりたかった』
「歌うまいのか」
『……高校の時は
軽音部…で、
……ライヴハウスとか出てた 』
「今 誰とすんでるの」
『お父さん』
「そっか」
『小さい時から知らなくて
でも前に、…倒れた後
迎えに来てくれた
すごく大切にしてくれてる』
− まだ熱があるのか
だるそうなアズの声が、少し明るくなる
「 よかったな 」
『うん うれしい』
「そういえばお母さんは?」
『知らない』
「別に住んでるのか」
『 六歳くらいの時
おいてかれたからわからない』
一瞬 言葉に詰まる
「本当に一人だったのか
どうやって暮らしてた?」
『中学までは お母さんのおばあちゃんが、通いで来てくれてた
高校は
……バイトしたりしてた』
「そりゃ過労で倒れるな」
『あはは 』