アズライト
「お母さん 嫌いか」
− アズは答えない
「どんな人?」
『……クラブ歌手…
小さい頃は、酔っ払って帰って来て、お父さんに似てるって、叩かれてた
それしか…覚えてない…』
−タバコを消した
「アズ。 」
『 ん…?』
「でもな アズ
おまえが人の事を思いやれる
こんないい子に育ったのは、
お母さんのお陰もあると思うよ
もう来年はハタチだろ?
もう大人になるんだし、これからは自分で自分を幸せにすればいい
俺も手伝うから
とにかく
よく頑張ったな アズ 」
「…アズ?」
− しゃくり上げる音
『 ずっ…と そ…
言ってく…人…
ひっ……いな……た……』
「ばーーか。
こんなのなー彼氏なら当たり前に言うんだぞ
アズの人生には『当たり前』が足り無さ過ぎるんだよ
設定がヤバすぎ。
映画並。
でもハッピーエンド迄には、色々つきものじゃん
仕方ねえべな」
『……ありすぎだ…ヒック…』
アズは泣き笑いしている
俺まで 涙が出て来て
ごまかす為に 咳をして
またタバコに火をつけた