アズライト
ザ…
ザー…
ザザー
『… 波の音する 』
「うん 着いたよ
あ〜あ
ドジな骨折娘がいるから
今日は泳ぐのナシか〜 」
『す…スイマセン…』
「今度一緒に来た時は
お詫びにビキニ決定な 」
『恥ずかしいから無理!!』
「なんだよ 足長いんだろ」
『やだ』
「我が儘だなあ
じゃあ百歩譲って、貝殻のつけたら許してあげる
ホタテ 名産だからな」
『やっぱりヘンタイだ…』
「馬鹿だなあ ロマンだろ」
『あ』
「どうした? 」
− 囁くような声で
アズが車に流れる曲と一緒に歌い出した −
昔アメリカでヒットした50s映画の挿入歌
『Lily』
身分を隠した王子が、リリィと言う地味な少女に恋をする
和訳すると
− 僕は今日 夢を見た
プロムの夜に
君の手を取って踊る夢を
宝石もお城も カッコイイ車も
いかしたギターも全部持ってる
持っていないのは、
たったひとつ、勇気だけ
君に声をかける勇気だけなんだ
君はボクのマリア
祈る事しかできない −
「歌うと少し声変わるな」
『ご ごめんね 好きな歌だから歌っちゃった… 』
「いや いいよ
高い音の時、少しかすれて、好きな声だ
続けてよ 」
『 うん 』
アズは楽しそうに
次の曲
『Fantasy』を歌い始めた
−驚いた
お前何者だよ アズ
この曲 何オクターブあると
思ってる −