アズライト
『ポレットの別荘』のラストは
−空襲で燃えて行く別荘−
孤独な移民だった父親は
暖炉のある別荘を愛していた
幼い頃、家族みんなで集まった
暖かい暖炉のある家の記憶
飛び込もうとした父を
抑えたままの母
消し炭になった別荘の前で
茫然として座り込む父
その側で立ち尽くす兄
− 急に 妹、ポレットは
その回りを
枝で地面に線を引き出す
"玄関'
"お台所'
"これはテーブル'
"お兄ちゃん 座らないとダメよ'
ポレットは家族の真ん中に
ポケットから取り出した
棒つきキャンディーを並べる
そして
"おやつを食べたら
お家に帰るわよ
今夜はおまえ達の大好きな
野菜スープを作るからね'
少女は片手を腰に当て
首を傾げて、少し誇らしげに笑う
母親がやる
別荘から帰る時そのままの
台詞とポーズ
厳格な父親が
棒つきキャンディーを取り
包みを解いて、
泣き笑いしながらそれを口に含む
それを見たポレットの
満面の笑顔
エンドは
家族が楽しそうに
街の家で食事をするシーン
− 心を暖めていたのは
暖炉じゃなくて −
そんな事を思わせる映画−
そんな事をアズに携帯で
ちょっと熱く語っているうちに
いつの間にか眠ってしまった
ずっと
子守唄が聞こえていた気がする