アズライト
23時

携帯が鳴った

西だ

「おう 」

いつもの飲み屋にいるのか、周囲で笑い事がしてうるさい
「おうじゃねーって!最近どうした?顔ださねえし

今いつもの皆いて、これからカラオケ行くんだけどこいよ! 」

「別にいいけど どこよ 」


久しぶりにバイクに乗って市内に向かい、待ち合わせ場所の駅前に着いた
メットを脱ぐ

「淳ーー!」
青木の声がした方を振り向く
少し遠くに、知っている女が立っていた

「…やられた 」

メットを被りなおす

「おーっとまあまあまあ」

西に正面から腕を抑えられ、振り払った

「…何で昌子がいんだよ
俺 断ったはずだけど」

「なあ ただ遊ぶだけならいいだろうがよ 必死に俺に頼んで来たんだぜ?

昌子ちゃん可愛いし、どこが気に入らないんだよ」

「…お前が昌子を好きな事、昌子は知ってるからな
好きな様に動くと思ってんだろ

西、おまえこれで何回使われてる?」

「……。」

「いつもの皆って言うから来た
         帰るよ」


「淳 !!」

昌子が走り込んで来た

少しバイクを進ませ、昌子の横で止まる

「…淳君 私 !!!」

(必死なわりにキメまくりな服だな


バイクに乗ったまま
メットのシールドを開けて昌子に声をかける

「−俺の友達を利用するな
アンタのそういう所が
嫌いなんだよ  ね?

…二度と顔みせんな 」





深夜の大通り

道路沿いに牛丼屋が出来ていた
ガソリンスタンドで、給油ついでにトイレを借りる



出て来たら、店員が俺のバイクの周りに集まっていた

「給油OKです! 岡田さんのバイク見るの久しぶりですよ!
ここは岡田さんちのスタンドなんですし、もっといらして下さい 」


「夏しか乗れないからね 」

スゲーなーとまだ見ているが、エンジンをかけた
「どうもね 」
右にウインカーを出す

「ありがとうございましたー!!」
赤い帽子が揃って頭を下げる






「…まだオン、あいつらいるかな 」

夏の星座が光っていた

無性にアズに 会いたくなった



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