アズライト


−俺がさ アズ


もしこの話を
俺が誰かに


他人事の物語の様に聞かせたら


『アズは最後はしあわせだったんだよ』って

そういうのかな


でも俺は


俺がお前の横にいて
お前からそれを聞きたかった


ヘッポコなのは俺の方だった


お前から幸せをたくさん
もらったのに


俺は一個も
− 返せなかった −


いくらでも動けたのに

RELIEFでいつでも会える事に
安心して 動かなかった



−いや

変なプライドが邪魔して
動く勇気がなかったんだ



あの時

体にとりすがって泣けば
よかったのかな



あほ、ふざけるなって
叫べばよかったのかな




−お前が
11日目に現れたあの日に
一生分 俺は

泣いてしまったのかもしれない







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