アズライト

ハーレーと大道具







―…雪がまた降って来たな





目覚ましが鳴る前に起きた


「アキ 仕事だろ 起きろよ」

「ん…」


繁華街から車で20分程の場所に
俺の家がある

18で一人暮らしがしたいと言った時に
父親が提供してくれた平屋だ



夕べ、駐車場に車を入れていたら
部屋にはアキがいて
そのままなし崩しに事を済ませた

朝食を作る


俺も今日は実家の方で仕事があるし
アキの料理の腕は
修旅で確認済みだからだ


二人でテレビを見ながら
夕べの残りのスープを食いタバコを一服



ニュースでは
東京都知事が誰々になったとか
白血病の特効薬がどうのとか
朝アナ達が話していたが
余り興味も無く聞き流して
チャンネルを変えた


「でも淳ってすごいよね!
料理出来るし社長の息子だし、
wーtops着てるおしゃれだしさあ
ハーレーなんて
高校で乗ってたの淳だけだったもんね!
部屋も淳ぽくてかっこいい」

好きな洋楽
気に入った物だけで固めた部屋
服は裏原から定期的にダイレクトメールが来るから
いつもそこで買う



「あーっ!アタシもう時間ヤバイ!
夜また連絡するけどいい?!」


「今夜は実家だから、こっちにかけて来てもいないよ」

「あっ そーなんだ!それよりアタシさ?今家居づらくてさーよかったら」

「遅刻」

「あ、そ、そうだね!またねー!」

「送るか」

「う、うん」



車を出し、俺はことさら
さっきの話と関連性が無い話を続けた

「しかし西ってアホだからさ〜」

「だね〜」


アキも、窓の外を見つめながら
うんうんと相槌をうっている


大概はこれで
女がおとなしくなるのは予測済み




十輪田駅でアキを降ろし
コンビニに寄ってジャーキーを買った
同じ棚で食玩のガンダムが目に入る


(…そういや優はまだ引きこもってるのか?


ガンダムは三種類あった全部と
適当に袋菓子をカゴにほうり込んでレジに向かった


―― 顔も見えない相手と
パソコンでチャットしてるだけなんて
マジで馬鹿だよな





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