アズライト
「森野」

「ん? あ ワイン下さい 二つね後 子羊と、これ 」


打ち合わせが終わった夕暮れ

広岬ふれあいコンサートホールの前に、うまいイタリアンがあると、森野に連れられて来た


「淳悪い なに? 」

「俺 なまってる ? 」

「 はあ?!何いってんだ イヤミか? お前の母っちゃは東京の人だし、昔からお前だけ標準語で浮いてたさ」

「……」

「それよりさ ファッションショー、おばちゃん向けだと思ってたら、そうでもなかったな」

「広岬出身のデザイナーが凱旋って事なんだろ
パンフレットに書いてあった
読んどけ」

「て事はさ 当日は、東京の女いっぱいくるかな?! 」

「こっちでモデルも全部集めてるみたいだから、無理でしょ」

「つまーらーんー
ま いいさ 打ち上げでカワイイコちゃんいたら、二人でお持ち帰り決定な

高校の時みたいに華麗に女ひっかけてくれよ」


「飽きた 」


「!!…じゃあ女まわしてくれよー 最近なんか全然縁なくてさあ…」

「声 デカイよ 」


声を落としてヒソヒソと
口に手を当て話して来る
「何よ淳くん… ハタチ越えたら落ち着きましたって?

でも無理だろ お前有名過ぎだしさ

高校時代はアイスホッケーやっててファンクラブ有り
手当たり次第にファンを食う
姉妹丼は当たり前。
ナンパ大好き。

今誰かに本気になった所で、誰かが絶対その女に言うぞ
っていうか、」

「お前何がいいたいの」

手を頬にあて、窓の方を向きながら、目だけ森野に向けて睨む



森野はシュンとして肩をすぼめた
「…スマン
何かこう…たまってんのかもしれん
マジで最近してなくて… 」


タバコに火を着けた

「 ジョン貸してやろうか
あいつは走るぞ
疲れて余計な事考えられんくなるべ」



「ジョンは…遠慮しとく 」


森野は昔
悪戯し過ぎて、ジョンに噛まれそうになった事がある



「 お待たせしました 」




子羊が運ばれて来た

味は 普通







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