アズライト



――― しばらく忙しかった


大学と飲み会と、実家関連の仕事の手伝い
書類が苦手な親父に代わり
俺がそれを引き受ける事が多くなっていた


結局勢いでPCでは無く
ゲーム機でも出来ると聞き買ったが
たまに西に貸借りたバイオをやる位で
部屋の隅に追いやられている



「淳ち バイオやっていい? 」

「いいよ」


春が来ていた

アキは避ける様に来なくなり
代わりに春がちょくちょく家にやって来て

仕事をしている横で何をいうでもなく
こんな風に放課後現れゲームをして帰る


「メシ食いに行くか
今日作るのダルい」


「ん いい 母っちゃが
ハンバーグって言ってたから 」

「お前んちハンバーグ多過ぎだろう」

「だってうちスーパーだし」


スレンダーなアキとは違い
少し子豚ちゃんな春は
のんびりした雰囲気で笑う

料理の壮絶さ位か、姉妹共通の部分は


携帯が鳴る 優からだ


「何 」

『 P.S.買ったって言ってたよね? 』

「買ったよ 春専用機になってるけど」


ぷ と後ろで春が笑う


『だいぶ前に
一緒にやろうって話したゲームさ
俺と仲間やめて
違う新しい奴に行くことにしたんだ』


「 なんでまた 」

『ん〜 色々重なったんだよね
運営とか、それまでも問題あって
チート武器が蔓延
普通のプレイヤーが気持ち良く
遊べ無くなって来たんだ 』


「チートってコピー品だろ
正規に手に入れた奴じゃない装備」


『…びっくりした 淳くんの口から』

「ばーか 一応調べたんだよ」

『あはは …それでね
前と違って皆レベル1からだからさ
兄貴ん所も回線頼んじゃっていい? 』

「おーい
話が早く進みすぎですが
なんでもいいけど 」

『じゃあ決定!
開通したら俺がセッティングするわ
じゃねー』プツ

…おい。


「優君どうしたの? 」

「いや、まあいいや 送るよ」



春を家の近くまで車で送り帰宅すると
スクーターで来たのか
優オススメの新ゲームの情報誌と
ゲームディスクがポストに入っていた





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