アズライト
・草原でのカメラワーク
『ユウ 後ろ』
『おっけー!kawa盾頼むね☆ 』
『ういういよ^^』
大海原に浮かぶ孤島
空には雷、雲が青黒くトグロを巻く
今 俺達の前には
巨大イソギンチャクが
立ちはだかっているのだ
ロード・オブ・ザ・リングに近い
古典的な世界感
だが以前ユウがやっていた
アニメっぽいゲームより
アメコミに近いリアルなキャラで
俺は好きだ
開始して三ヶ月
始めは歩くのも覚束なかったが
Level30相当の装備は一通り揃い
Kawaさんの為の新魔法を探しに来た
魔法は魔法屋で買える物が大半だが
たまに敵しか落とさない物がある
しかし朝からやっているのに
いっこうに落としやがらない
Maxim『なあユウ
本当にこいつでいいのか? 』
YOU『間違いないよ☆
某掲示板にも画像あがってたし 』
Kawa『すまんね皆(>_<)』
YOU『♪二時間後にまたポップするから頑張ろ ^^b 』
Kawa『YOUありがとう!
そういや昨日のガンダムSPEED見た? 』
YOU『うんうん!みたよ〜!
あれってさあ… 』
…会話がこうなって来ると
サッパリわからない
ネットゲームは
メジャーになったというものの
オタク文化がやはり主流だ
こういう時は適当に相槌うって
聞いてるふり
女との会話と一緒
りせき と打って席を離れる
二時間アニメの話はさすがにキツイ
コーヒーを入れて何か作る事にした
「−春 つまんなくないのか」
「ん? 本読んでる 」
こいつも意味不明だ
俺がこれををやり始めてから
春が来ても構ってやった事がない
テレビも見られないわけで
それなのに毎日家に来て夜帰る
アキも言っていたが
家で親が揉めてて居づらいらしい
多分休憩所として利用してるんだろう
ただこういう子の方が
いざとなると何かしでかすから
当たらず障らず
春の携帯のアラームが鳴る
俺が薦めた洋楽「Fight」って曲だ
「帰るね」
「気をつけて」
ドアが閉まった後
棚の上の財布を確かめる
――今日抜かれたのは 一万円か