りんねの歌
「いいですか、姫様」
「ナヤマ!」
「今から私の言うことを、よく聞いてください」
ナヤマはルチアの手を握って、あたしのほうを向いた。
「アクア姫を知っておられますね?」
「…えぇ…」
「はるか昔、世界が今のように混乱に満ちたとき、一人の女が立ち上がりました…」
ナミダを拭いながら、ナヤマに変わって、ルチアが話し始める。
「その女には歌うだけで、どんな人の心も癒してしまう…不思議な能力がありました」
「それが…姫?」
「そうです。彼女は、世界を旅して、世界中で歌いました。世界平和を願って、あの歌を…」
「あの歌?」
「凛音様がお歌いになった“はじまりの歌”は、アクア姫が作ったものです…」
「嘘よ!あたし、そんなの知らないわ。第一、あれはあたしが考えたものよ!!」