りんねの歌



「いいですか、姫様」


「ナヤマ!」


「今から私の言うことを、よく聞いてください」




ナヤマはルチアの手を握って、あたしのほうを向いた。




「アクア姫を知っておられますね?」


「…えぇ…」



「はるか昔、世界が今のように混乱に満ちたとき、一人の女が立ち上がりました…」



ナミダを拭いながら、ナヤマに変わって、ルチアが話し始める。



「その女には歌うだけで、どんな人の心も癒してしまう…不思議な能力がありました」



「それが…姫?」


「そうです。彼女は、世界を旅して、世界中で歌いました。世界平和を願って、あの歌を…」


「あの歌?」


「凛音様がお歌いになった“はじまりの歌”は、アクア姫が作ったものです…」



「嘘よ!あたし、そんなの知らないわ。第一、あれはあたしが考えたものよ!!」



< 131 / 144 >

この作品をシェア

pagetop