りんねの歌
└港町・ヨルガ
「ついたぜ?」
「───え?」
リオンの声に目を覚ますと、そこには海が広がっていた。
「うわぁ…海だ!って……え?」
凜音ははじめて見る海に目を輝かせたあと、自分の今の状況に気がついた。
───あたし、おぶってもらって!?
「ご、ごめんなさい!」
「気にすんな!さぁ、行こう?」
爽やかに笑うリオンに凜音はドキッと心が躍ったのを感じた。
───今のは……?
自分でもわからない感情をそっと胸の奥にしまい、辺りを見回した。
「ここは、あまり荒れてないのね。」
「ははっ…!まぁ、港町だからな?」
暗いイメージの強い凜音の故郷"カオス"よりも、ずっとずっと明るかった。
"カオス"は正式なく国名ではない。凜音が見ずからそう言っているだけなのだ。
国の名前など、とうに忘れてしまったから……
「あれ、何!?」
凜音が指さしたのは建物だった。目の前には野菜や、魚がおいてある。
「店だよ。初めてみた?」
「うんっ!!!」
───あれが、お店!!!想像通りだわ!