りんねの歌





凜音は余りの心地よさに歌を歌いはじめた。



両親がまだ生きていた頃、よく歌っていたものだ。



『──人と人との心の壁に

風を通しましょう」


あなたの悲しさ苦しさ

受け止めるから

もうどうか泣かないで




夕暮れの空のように

冷えきったこころ紅く染めて



もう一度歩きだそう──』





歌の途中で凜音は人気を感じ後ろを振り返った。




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