りんねの歌




「それで、俺が本当に話したいことはこれじゃないんだ」


「え?」


「凛音、心して聞いてくれる?」


「う……うん」


「今は違う国に向かってたわけじゃないんだ」



―――え?じゃぁ今どこに向かっているの…?



「……逃げてるんだ」


「逃げる……?どこから……なんで……」


頭の中に沢山の疑問があって凜音は困惑する。



「……魔法国・ウェルトに。君は………アクア姫の生まれ変わりなんだ」


「………………え?」




―――ありえないよ。そんな、あたしなんかが生まれ変わりだなんて。





「君は歌を歌って暴走していた俺を止めただろ?そんなことできるのは、世界でタダ一人だよ」





「そ…んなそんなわけない…っ!あたしは……あたしはっ…!!」




『──君はアクア姫の生まれ変わりなんだ…』



―――あたし、は……



バタッ


「凛音!!凛音!?」




凛音はショックで意識を失い、コップの落ちた音とリオンの声が辺りには響いていた。




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