りんねの歌




ナヤマとルチアこそが、後に凜音が父と母だと思っていた二人だ。



『じゃあ、あたしが作った"始まりの歌"聞いてください。』



ペコリとお辞儀をし、あたしは歌いだした。




『──人と人との心の壁に───』




歌っているあたしの回りには小鳥たちが飛ぶ。



肩に止まったり、指先に止まったり……。




『───未来に向かって──』




ルチアとナヤマはその光景をただ唖然と見ていた。




『ルチアどう思った!?』

『……………………』


『……………ルチア?』

『す…すばらしかった!姫様は歌が本当にお上手だ。』

『ありがとナヤマ。』



言葉が出ず放心状態になりかけているルチアの代わりにナヤマが急いで答えた。



───無理もない。あれだけ手塩にかけて育てた姫様がアクア様の生まれ変わりかもしれないのだから……。


ナヤマは思った。


『…ルチア?』

『…………は…はい!』




───せめてあと少しだけども、王陛下のお耳に入らないといいが……。





『さ…姫様。お勉強の時間ですわ』


『えー……』



ルチアは考えた。


───姫様がアクア様の生まれ変わりならば…いずれウェルトと戦わなければならないはず……。




『姫様……みんなに内緒で魔法の勉強をしますか?』


『するっっ!!!!』




───ならば少しでも姫様のお役に立つよう私は魔法を教えよう……。




*─*─*─*─*─*─*─*─*─*




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