りんねの歌
杏里は喧嘩が好きだ。だから、人からものを奪うことを好んでいた。
───あーあ。こんなところほっつき歩いてるのがいけないのよ。
国境に近いこの場所には、たまに異国のものが足を踏み入れる場合がある。
そんな奴らは一秒でおいはぎに会うけれど。
凜音は争いごとが嫌いだったがここらでは一番強かった。
「凜音は前から。あたしは後ろから……いい?」
「…りょーかい」
──こんな場所、早くでていきたい。でも……きっと無理だわ。
杏里がナイフで男を脅している間に、凜音が後ろから襲う……といういかにも簡単な方法だった。
失敗する場合もある、が、杏里と凜音の二人にかかれば大男でも簡単に倒すことができる。