天才ドクターと天然ちゃん
あれっ…?
おかしいなぁ…っ。
手が震えてボタンがしめれないやっ…。
『もう…ボタンしめれた?』
私の返事を待たずにこっちを見る先輩。
『ごっごめんっ。ってか本当に大丈夫?』
『すっ…すいませんっ…ボタンしめられなくて…』
恥ずかしくてまださっきの先輩が脳裏に焼きついてて涙が止まらなかった。
『なっなるべく…見ないようにするから…』
と言いながら先輩は私のボタンを丁寧にしめてくれた。
『はいっ。出来た。』
私の肩をポンッっと叩く先輩。
『ぁっありがとうございました…』
『君…神野泉ちゃんだよね?俺は西崎聡よろしく。』
って爽やかな笑顔を私に向ける。
この爽やかで紳士的な笑顔…先生に似てる。
だからさらに涙が増した。
『…っ…うぅ〜っ………』
…ダメ涙が止まらないよ。
―――ギュッ
『…さ…とし…先輩…?』
私…聡先輩に抱き締められてる?
『泣くなって…。』
私はなぜか抱き締められたその手を拒むことが出来なかった―…。