ウェディング・ストーリー
「マジだから。冗談とか思ってるかもしんねーけど」
...あーダメだ。引越しが..結婚に__。
一体、今日はなんて頭を使う日なんだ。肉体労働だけで十分だったはずなのに――。
「・・・ぃ。・・ぉい。おいっ!!!大丈夫かっ!?」
目の前で手をぶんぶん振っているヤツが見えた。どうやら、意識が飛んでたらしい。アホ面をさらしてしまうなんて、最悪だ。
人生初のプロポーズ場面で、失態。最悪極まりない。うん、もう完敗だ。
「大丈夫...聞いてたよ、ちゃんと。うん...聞いた。」
「いや、驚かすつもりは全然なかったんだけど...なんかー困らして、悪い」
謝られた。ここで謝罪もおかしな話だ。
誰も責めてないよ?どんだけアタシも困った顔してたんだろ。
「や、謝って欲しいわけじゃないから!別に悪いことしてないし!ね?」
お?勢い戻ってきたぞ!そうだ、この調子なら言いたいこと言える!
それでも申し訳なさそうに小さくなるヤツに向かって、アタシは告げた。
「...あのさ。返事、今していい?」
ヤツは徐に顔を上げた。そして...上目遣いでアタシを見るな~~っ!!!
あぁ、ちゃんと言えるだろうか。不安、、、