ウェディング・ストーリー
「昔さ、どんなに時間かかっても、これだけは諦めないって言ったこと...覚えてる?」
首を傾げて考えていたヤツだけど、しばらくしてから口を開いた。
「写真...撮ること?}
「うん」
アタシには、絶対叶えたい夢がある。
どんなに厳しい所でも、伝えなくちゃいけない世界の人々のあるがままの姿を。
そのためにジャーナリストという職業を選んだ。
まだまだ端くれだけど、女だからってだけで見くびられるなんて嫌だ。
アタシだって、プライドがある。
やっと掴んだこの仕事で今は、国内で起こった様々な事件や、被災地などを飛び回る日々を送っている。
だから、普段は週末だろうが、祝日だろうが、関係無く、事件が起きれば365日どこへでも行く。
今日みたいな日曜日、携帯が鳴らずにプライベートな時間を過ごせることなどホントに稀なことだ。
とにかく、アタシは日本で留まるようなジャーナリストで終わりたくない。
もっと世界を肌で感じて、
知らない国で生きる人の今を、伝えたい。
教育が受けられなくても、自らお金を稼いで学校へ通う目標がある子供たち。
地雷除去が完全に終了しない限り、不安に怯える毎日を送る人々。
貧困で満足に栄養が取れない状況で、医療施設へも入れない人。
私達が、平穏に生きていることが、どれだけ奇跡かということ...
そう、まだ伝えることが出来ていない。