ウェディング・ストーリー




「何にも言わなくていいから」



えっ?




「全部知ってた上で、プロポーズした」




なんで...




「きっと断られるだろうなって予測は出来てたし。思った通り、だったけど。やっぱ断られるのは、堪えるな」




じゃあ、どうして




「不安で仕方ねぇんだよ。戻って来ない気がしてならなかった。そのぐらい、海外での仕事は、ジャーナリストにとってリスクを伴うだろ?」




それを知っていて、覚悟を決めて行く決意をした。




「お前がいない人生なんて、想像つかないし。そんな未来だったら、いらない。」




やめてよ…本気で泣きそうになるじゃん。




こんな時だけ真面目になってさ、




余計に、胸に染みるじゃん。




「俺は、お前が安心して帰って来れる場所になりたい。それだけ。独りで頑張り過ぎないように、一緒に。で、ふたりで笑ってたい。」







「言葉じゃ上手く言えねーけど、ホントに、お前が大事」






ごめん、気付きもしなかった。あの突然のプロポーズの意味を...




いまやっと、アンタの気持ちが見えたよ。






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