NO TITLE
何を思ってか、あの晴深くんが、顔普通、成績普通、運動神経普通以下な私に告白してきたのが1ヶ月とちょっと前。
「あー、もう我慢できない!」
今にも飛び出しかねない由利を、まぁまぁと必死に宥めてみるも、逆にそれが彼女のカンに障ったらしい。
「ちょっと涼子!あんたはあれ見て平気なわけ!?」
平気なわけがない。
由利の指差す方を見れば、座っている晴深くんにクルンと巻いた髮とクリッとした瞳が印象的な安田さんが後から抱き着いている。
安田さんと言えば学年一の美少女。
晴深くんと並んでも引けをとらない。むしろ絵になる。そんな子。
「斗紀くんも何を考えてるんだか。」
「あはは、そうだね。」
あははじゃない!とか何とか怒っている由利を無視し、向けていた視線を正面へと戻す。
意識しなくても耳へ入ってくる彼らの笑い声や話し声。
……平気なわけがない。