アイマイ上司の胸のウチ
確かにハッキリ言ってしまえば、仕事の出来ない子。
マイペースな性格の為か、初めは要領の悪い子だと思った…。
だが、気が弱そうに見えて、芯のある強い瞳を持っている。
威嚇するような鋭さではなく、どこか人を和ませるような眼差しで…。
そんな彼女を、不意に一瞥している俺がいた・・・
その瞳は、決して俺に向けられている訳では無いのに。
どこまでも透き通った眼は、彼女への想いの色を濃くしていく・・・
「そう…、それなら早く仕事に戻ってくれる?」
「はい、本当に申し訳ありませんでした」
最後に笑顔を見せて、お局の怒りを鎮めてしまうのは天性の才能。
自席へ戻った彼女に、同僚の松下さんが訝しげな表情で話し掛けた。
その視線はお局に向いているし、先ほどのやり取りに憤慨しているのだろう。