ゲーム『ＴＨＥ地球』

奇跡の生還

　八月三日、
夏、真っ盛り、
二十歳のタケシは、
この日、死ぬ運命に
あったのではないでしょうか…。

　海の中、方向を
失う程の高波に飲まれ、
息を出来ず、やがて、
意識が遠のいて行く…。

しかし、タケシは
死んでいませんでした。
波打つ勢いで出来た、
空気の泡が、奇跡的に、
タケシの口から入っていった事で、
かすかな呼吸が
出来たのです。

　気を取り戻すと、
タケシは、波打ち際に
横たわっていました。
そして、すぐに
異変に気が付きました。

「静かだ…。」

というより、
周りには、波の音位、
聞こえてきても良い筈なのに、
一切、音がありませんでした。

「まさか！
　耳が聞こえなくなったのか？」

そして、ここはどこなのか
見渡すと、
目の前には、岩山が
ゴロゴロとあるばかりです。
タケシの遊んでいた
海水浴場から、
結構流されてしまったのです。