ゲーム『THE地球』
 “手”は、
タケシを握りつぶそうと
するかのように、
掴みかかろうとします。
が、タケシは、
ネズミのような
身のこなしで
寸前でよけ切り、
ビルとビルの間を
ぬうように、
走りました。
ビルを崩しながらも、
強引に、
タケシを捕まえようと
しますが、
ついに、タケシを
見失ったようで、
“手”の動きが
止まりました。

 やがて、“手”は、
“裂け目”へと、
静かに戻り、
“裂け目”と共に、
空の中へと
消えて行きました。

「あきらめたか…。」

タケシは、
デパートの中に
身を潜め、
その光景を
秘かに見ていました。

 しばらく、
デパートから、
外の様子を伺い、
うかつに外に出ない事が
良策と考えました。
タケシのその策は
正解でした。
やがて、空に
“裂け目”が
三つ現れたのです。
“裂け目”は、
それぞれ、
何かを探すように、
黒眼をギラつかせ、
ゆっくりと、
周辺の空を
巡回し始めました。

「あれは、俺を探してる…。」

先程、タケシが
追われた周辺を
中心に、
“裂け目”が
動いている事から、
タケシは“裂け目が“
自分を探している事を
確信しました。

「こりゃ、当分、
 外に出ない方がいいな。」

幸い、そこは、
何でも置いてある
デパートです。
籠城戦には
もってこいの場所です。
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