ゲーム『ＴＨＥ地球』

瀕死の作戦

　静まりかえった世界に、
エンジン音が
鳴り響きました。
車は、デパートから出ると、
一直線に
道路を走りました。
その音に気付いたのは、
近くを巡回していた、
二つの裂け目でした。
すぐに車に
掴みかかろうと、
近寄ってくると、
裂け目から、
また大きな
“手“が出てきました。
あっけない程に、
車はつまみだされました。
大きな”手“に
掴まれた車は、
まるで、
ミニカーのようにも
見える程です。

『ガシャンッ。』

鉄が潰れる
鈍い音を立て、
車は握り潰されました。
“手“は、
車を地面に置くと、
タケシの生存を
確認するかのように、
グシャグシャの車の中を
まさぐり始めました。

　いくら、探しても、
タケシの姿は
車の中にありませんでした。
実は、タケシは、
この車の中に、
初めから乗っていなかったのです。
車のアクセルを
固定したまま、
無人で走らせていたのです。
出来るだけ、
直線で時間を
稼げるコースを選び、
おとりとして、
走らせていました。

　一方、タケシは、
“手”が、
車を追っている隙に、
スクーターに乗り、
海岸を目指し、
走り出していました。
タケシの作戦により、
まんまと、
“裂け目“から
出てくる追っ手から、
逃れる事に
成功したのです。