ゲーム『ＴＨＥ地球』

　海岸に着き、
タケシは、海を
目がけ走りました。
相変わらず、
人々は、止まったままです。
そして、
止まったままの波を構わず、
バシャバシャと
足の付かない
深さまで泳ぐと、
止まりました。

「ここら辺だな。」

あの時、タケシは、
マット型の浮き袋に
寝そべり、
プカプカと揺られながら、
日焼けを
楽しんでいる所を
波にのまれ、
溺れたのです。

「とは言え、
　この波が固まり、
　流れのない海で溺れるのも、
　至難の業だな…。
　変に溺れて、
　本当に死んでも意味がない、
　あの時のように、
　瀕死の状態にならないと…。」

海の上で、
ポツンと考え込んでいると、

『ジジジ、ジジ…』

タケシの居場所に
気付いたらしく、
“裂け目”が
頭上に現れました。

「くそっ、気付かれたか。」

すぐさま、
タケシは、海に潜りました。
裂け目から
“手”が出ると、
タケシを追い、
真っ直ぐに、
海中へと入ってきました。

背後に、
“手”に追われるのを
感じながら、
怒涛の勢いで、
足をバタつかせ、
深く深く、
潜っていきます。
しかし、
息が続くのも、
限界があります。
それでも、
何とか捕まるまいと、
ズイズイ潜り、
推進二十メートル程潜りますが、
タケシは力尽き、
気を失いました。

「ああ、結局、溺れ死ぬのか…、
　でも、これで世界は
　戻るのかな…。」

そう思ったのを最後に、
暗い海底へと、
吸い込まれていきました。