孤独なピエロ
でもわたしはイヤだと言えなかった。

父のことを尊敬していたし、父がわたしを大切に思っているのを知っているからだ。

しぶしぶ見に行った。

サーカスは人気の理由が分かるほど、素晴らしい技術を披露してくれた。

けれど…わたしの心は晴れない。

やがて若い青年が、最後の挨拶に出てきた。

彼は団長らしい。

もうすぐ一ヶ月が終わることを、心寂しいと言っていた。

だけど…。

「それでも新たな団員を迎えられそうなので、とても嬉しいです」

と、笑顔で言った。

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