孤独なピエロ
その途端、わたしの体にかつて無いほどの戦慄が走り抜けた。

まるで電気を浴びたような衝撃で、わたしは息をすることを忘れてしまった。

そのせいか、その夜見た夢は、悪夢だった。

深夜、寝静まった街中を、一人のピエロが歌いながら歩いている。

―両手に鎌を持ちながら。

孤独なピエロは陽気に歌う。

しかし、サーカス団近くの川原に来た時、様子が一変した。

真っ白顔には、笑顔の化粧がされていた。

けれどその体からは、異様な殺気が出始めた。

何故なら、ピエロの目の前に、昼間見たサーカス団員達がいたからだ。

「今晩は、ピエロ」

団長が笑顔で話しかけた。

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