Toy Girl~あなたの好きにして?~
結局、手を離してくれないまま、またすたすたと歩き出す。





階段を上っていくと、たくさんの人とすれ違った。





みんな、すれ違う度に私と“彼”と、・・・握った手を交互に見つめ、






ひそひそと何か話し始める。







【1-D】と書かれた教室の前まで来ると、





“彼”は急に足を止めて、振り返る。





「名前は?」






まだ手は繋いだまま。






『あ、赤池舞花です』





「舞花、ね。じゃあ舞花、また後で」




急に舞花、と呼ばれて、ちょっと驚く。





『・・・はい、案内してくださってありが、んっ』




ん?






目の前一面に“彼”の顔。(どどどどどどアップ!?)








私・・・キス、されちゃった!?





「ごちそうさま」







『っ!!』








耳元で艶やかな声で囁かれ、体が熱くなった。





顔が真っ赤になって耳まで熱いのがよく分かる。






「じゃ」







そのまま“彼”は去っていった。






唇を押さえると、まだあのときの熱が残ってるような気がした。
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