ウサギ
俺は向かいのいすに座って聞いた。
「物書きなのか?」
「まぁ、アマアマだけどな。」
女はペンを器用に回す。
「あたしにはもう書き物しかない。
全作品が終わり、ネタが無くなればあたしは死ぬ。
そういうことさ♪」
どうやらそう決心したらしい。
死ぬんだったら俺の目の前はやめてくれ。
「元カレにフラれたのか?」
その話になると女は目が鋭くなる。
「まぁ捨てられたって感じ?フラれるってカッコ悪ぃじゃん。」
「捨てられるのもカッコ悪ぃーけど。」
「うっせ。」
女は機嫌を悪くしてビールを飲む。