私は神を信じない
「あのね、落ち着いて聞いてね」
「うん」
「杏子ちゃんが何故この孤児院にいるか聞いた事ある?」
「知らないよ、だってここにいるって事はみんなそれなりに事情があるからで、そんな事知らなくていいよ」
「違うの聞いて、あなたが危ないのよ美佳ちゃん」
「どゆ事?」
「あのね、杏子ちゃんは七歳の時に自分で自分の両親を殺してるの」
「そんな冗談、冗談でも言わないでよ」
「真実なの、最初から反対だったわ、あんな凶悪犯罪者うちで預かるなんて」
「先生何が言いたいの?」
「もう私自身限界なのよホントにあの子が怖いわ。何するかわからない、何かしたら私たち監督者の責任も問われる」
「監督者?あんたあたし達の保護者じゃなかったのかよ、善人面しやがって」
「そうさ、私だってね普通の人間なんだよ、普通じゃない人間が怖いのは当然さ」
「普通普通じゃないとか誰が決めるの?そんな簡単に人の事普通じゃないとか言わないで、杏子はあたしの大切な友達なんだから」
「美佳ちゃん、話しただけ無駄だったわね」
結局大人は私を殺人者としてしか見てなかったんだ。裏切られた気分だったが美佳の言葉がたまらなくうれしかった。
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