おさなな・ぺっと
そうしてドアが開くと、おばさんが中に招き入れてくれる。


「寒いでしょお。ココアと紅茶、どっちがいい??」
「あ、ココア…」
「分かったわ。待っててね。健太の部屋は昔と変わらないから」


そう言っておばさんはキッチンへ足早に歩いていった。
あたしの聞きたかったことを教えてくれた。


そっか…健太の部屋、昔一緒に遊んだころと同じ場所なんだ。
二人の時間が詰まった部屋が、他の誰かの部屋になっていないことが、素直にうれしくて、胸のあたりにジーンとくる。


あたしは1階から2階に、ママに無理言って変えちゃったんだよなあ。



キッチンとは反対の方向へ少し歩くと、2階への階段がある。
そこを左にいったところに健太の部屋。


なつかしーな。
目を閉じてもすぐにまぶたの裏に浮かぶし、この家の匂いも覚えてる。

階段の肌触り。


ここが、健太の家。
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