おさなな・ぺっと
あたしは冬なのに首に巻いてたマフラーを取りたくなるほど、カッとしてきた。


「何それ!?約束は…??あたし、健太と結婚するんだもん…」


多分、もう泣いてたと思う。
うすうす感づいてた。
幼なじみの微妙な気持ちの変化を。


一緒に登下校するときに話していても、心が違う場所にあるって。


「んなモン、たかが幼稚園児の約束だろ??本気にされても困るし…」



何かが、変わり始めた冬。
あたしの体型だけじゃなくて、心の、奥底までが。


健太は冷たく言い放った。


「俺が好きなのは、結菜じゃなくて、沙織(さおり)だから。3組の、吉川沙織」


そしてあたしは何も言えず、玄関の扉が閉まってからもなお、泣き続けた。
あたしの人生最悪の、バレンタイン。
< 7 / 35 >

この作品をシェア

pagetop