季節のあいだに
「奈津、あのね…あたし奈津を避けてた。」

「ん。知ってた笑」

「あたし、逃げたの。現実が怖くて暗くて、逃げたの。」

そう、あたしは逃げた。
自分のために逃げたんだ。

「奈津と話したりすることで、みんなから嫌がらせされてて…それで…」
「亜希なんかされてたんっ?!」


あたしは、されてきたことを全部全部話した。

「なんだよそれ!意味わかんねえ!」

奈津はまた、こわい表情になっていた。

「でもね、でも、逃げたのはあたし。自分を守るためだけに、奈津を避けてた。」


そして前より深く気付いたの。
奈津の存在の大きさ。


あたしはそれっきり、何も話せなかった。


「…亜希?」

奈津が口を開いた。
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