君はここにいた。
変な声が出てしまった。
案の定、受話器の向こう側で大倉は声を上げて笑いやがった。
「凌(りょう)ちゃん、なに変な声出してるん? めっちゃウケるわ」
「うっさい。こんな朝から何?」
少しムッとなって聞く。
「あぁ。…なぁ、いまから図書館来て」
「なんで?」
「いいから、いいから」
「なんだよ?」
……?
こんな朝から図書館で何するんだろう。
「ケンも来るからさ。とにかく来いよ!」
「あ、ちょ! 待ってよ」
ツー、ツー、ツー
わけもわからぬまま、一方的に電話は切れた。