君はここにいた。


「…あれ?」



 賑わう音の中で、微かに聴こえてくる美しい音色。



 吸い寄せられるように公園に入ると、ふと周りの音すべてが消えてしまったような気がして、その美しい音色だけが今度は耳にはっきりと響いた。





 名前も知らない歌。





 

 片隅のベンチに座ったそいつが奏でている。





 
 思わず息をのみこんだまま、動けなくなった。
 


 

 
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