君はここにいた。



「―― 僕、院長呼んでくる」




 子供の中の一人がそういって、建物の中へと入っていく。


 槝木もゆっくりとした足取りで歩き出した。
 もうだいぶ体調も落ち着いたようだ。






 もう帰ろうか、そう思ったときだった。





 建物の中から女の子があわてた様子で飛び出してきた。
 


 あの子だ。
 入学式のときに槝木と一緒にいた「あまね」ちゃん。



 
 そうか、だから「兄弟」って…。



 



< 129 / 204 >

この作品をシェア

pagetop