君はここにいた。



 あまねちゃんがすぐに槝木のもとへと駆け寄り槝木の腕をとる。


「大丈夫? 痛むの?」


 そういうあまねちゃんの顔も青ざめていて、心底心配している様子が見てわかる。



 それなのに槝木は、


「触るな!」


 そう声を荒げて、あまねちゃんを払いのけた。



「おい、槝木!」


 その様子を見ていた俺も、思わず声をあげてしまった。


 なんだよ、と言わんばかりに槝木が振り返る。



「心配してんのに、その態度はないだろ」


「うるせーよ」


 案の定冷たい言葉で跳ね返された。
 そのまま建物の中へと足早に入っていく。



「おい!」


「い、いいの!浅葱くん」



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