君はここにいた。


「ケン!」



 槝木のクラスの前でだべっているケンをみつけて声をかける。



 ケンは槝木と同じクラスだ。



「凌ちゃん。…また槝木?」


「あぁ…」


 もう何度も聞いてるから、ケンもわかってる。


「来てないよ」


 と、ため息交じりに短く答えた。



 またか。

 俺も小さくため息をつく。



「なぁ、凌ちゃん」



 自分のクラスに帰ろうとしたとこで、ケンに呼び止められた。


 なに? と、俺は足を止めて振り返った。 



「凌ちゃんも、槝木組になったのか?」


「いや、そんなんじゃないよ。ただ…」


「ただ…?」



 言葉に詰まった俺に、ケンは不思議そうに首を傾げてる。
 

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