君はここにいた。


「浅葱!」



「はい?」




 先生が見つけ出したそいつは、話の邪魔が入ったといわんばかりに怪訝そうに振り返った。



「お前ちょっと来い。先生の手伝いしろ」


「手伝い? なんで俺が」


「どうせ暇だろ」


「残念。俺これから彼女とデートなんですよね」


「こらこら、君彼女いないだろ? この間『彼女ほしい』ってぼやいてたじゃねーか」


「ちぇっ…わかったよ。めんどくさー」




 ダルそうに頭を掻きながら、アサギがゆっくりとした足取りでこっちに来た。
 そして僕を見つけるなり、大げさにため息をついた。


< 157 / 204 >

この作品をシェア

pagetop