君はここにいた。
「浅葱!」
「はい?」
先生が見つけ出したそいつは、話の邪魔が入ったといわんばかりに怪訝そうに振り返った。
「お前ちょっと来い。先生の手伝いしろ」
「手伝い? なんで俺が」
「どうせ暇だろ」
「残念。俺これから彼女とデートなんですよね」
「こらこら、君彼女いないだろ? この間『彼女ほしい』ってぼやいてたじゃねーか」
「ちぇっ…わかったよ。めんどくさー」
ダルそうに頭を掻きながら、アサギがゆっくりとした足取りでこっちに来た。
そして僕を見つけるなり、大げさにため息をついた。