君はここにいた。
「宇佐見ってさぁ、いっつもこんな早ぇーの?」
「え? うん、まぁ…」
「なんで?」
なんで…?
この朝の1人だけの教室の雰囲気が好きだからだよ。そして、君はいま僕のとっておきの時間を壊しているんだ。
なんて。
いくら彼が苦手だからって、そんなこと言えるわけがない。
「なんとなく。早く来ないと落ち着かなくて、授業にも集中できないってゆーか…」
面倒くさいなとか思いながら、不機嫌な声で僕は答えた。
途端、アサギは口に軽く手を当てて可笑しそうに笑い出した。
「なんだそりゃ。宇佐見って面白いな」