君はここにいた。


 その日の放課後、僕はふとあの公園に立ち寄ることにした。
 もしかしたら昨夜の彼がいるかもしれない、なんて思いもしたが、それよりもここの景色が見たかったのだ。
 

 自転車を押して、緩い坂道を下る。
 その途中で、僕の視線は目の前のある一転に止まった。




 彼がいる。





 昨夜と同じあのベンチに、足を組んで座っている。
 そのすぐ目の前には、ふわふわの長い髪をした女の子が立っている。

 
 僕はしばらく立ち止まって、その様子を見つめていた。



 すると、女の子の方が彼にゆっくりと近づき…
 そして…



 わっ。

 咄嗟に僕は目をつぶった。


 その次の瞬間、


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