君はここにいた。

「何? 思い当たることでもある?」


 彼がうすら笑みを浮かべて、僕を見上げてくる。

 僕は一瞬迷ったが、正直に話すことにした。


「…僕は、友達なんてモノ信じられない。友達なんて形だけだよ」

「…なんで?」


 すかさず彼が問い返してくる。


「だって、友達はいざって時に裏切るでしょ」

「あぁ、なるほど」


 僕の答えに、彼は小さく頷いて見せた。
 それから深く息を吐いて、諭すような目で僕を見上げてきた。


「どんな時でも、お互いに助け支え合える関係。それが、アンタの理想の“友達”ってヤツか?」

「え? うん…そうだね」


 そう。


 言葉だけでなく。


「アンタさ…」


 彼が小さく笑う。


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