君はここにいた。

「いいこと教えてやるよ。“友達”がほしいなら、他人から好かれるような人間になれ。信じられないとか言ってないで、いつか本当の“友達”になれる時がくるのを、バカみたいに信じて待ってみろよ」



 そう言う彼の目がどこか哀しげだったのを、僕は今でも覚えている。



「空白のページは、アンタが描いていくんだ。何も描かなければ、一生そのままだ」


 彼が立ち上がる。
 今度は僕を見下ろす形となった。


「無理だよ…」


 無理に決まってる。

 友達なんて信じられるわけがない。


 信じたってどうせ裏切られるだろ。


「信じられないって言うから、無理なんだよ。アンタは自分に暗示をかけてる。自分は友達なんて信じられるわけがない。ただ、そう思い込もうとしているだけなんだ」
 
< 42 / 204 >

この作品をシェア

pagetop