君はここにいた。


 ズキッ



 またも何かが胸に突き刺さる。
 



 僕は何も言えなくなった。



「思い込んでるだけなんだ」


 彼が、もう一度同じ言葉を繰り返す。
 今思えば、この言葉は彼が自分自身に言い聞かせていたのかもしれない。


 

 しばらく沈黙が続いた。
 ふと、彼が僕の頭をポンポンと叩く。そして、そのまま手を振って坂道を歩き出した。


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